夢日記の3

いつだったか覚えていないが、また世界観が鮮明で印象的だった夢を見た。
また、ここに書いておいて将来の作品に役立てようという目的で書いておく。

■大滝と大樹と「私」のすみか

朝方の日が昇りきらない時間帯。
目の前には落ち始まりとおわりの見えない巨大な滝がある。

水の落ちる音は激しくて他の音は何も聞こえないが、そのせいかとても静かに感じる。
どうやら「私」は長くここで暮らしているようだ。

ここは崖の上のようだ、いや、多少広めの広場が崖の様に突き出ているが、ここは樹の幹の途中だ。
この樹も上も下も果てなくて、おわりが見えない。
「私」はその広場の一番奥にある石造りの入り口をその奥から見つめていた。

小さな灯りが、このすみかの中を照らしている。
傍らには真っ白な肌が見える。女性だろうか。
視界のハシに見えるその姿を「私」はまったく気にしていない。この同居人はいったい何者なのだろう。


もそもそと、頼りない足取りで外へ出た。
冷たい水分を沢山ふくんだ空気が顔にあたって気持ちいい。

小さな花をつんでいたのだろうか、食べ物を探したのだろうか、その広場をくるりと回ってみたあと、「私」は崖の先に立った。
両手を広げて、羽ばたいてみる。

羽だ、「私」の両手には羽がついている。いや両手ではなくて、これは翼だった。
薄暗い霧のたちこめる崖の突端で、私の翼は薄い青色に染まっている。きっと翼は白いのだろう。


「私」は飛び立った。


何のためらいもなく崖を蹴り、「私」は飛び立った。
すみかのあるあの樹の幹が遠くなっていく。
小さな花の咲いていたあの広場が遠くなっていく。


空中に浮かびつつ、「私」は白い翼のある私は何者であるかをまだ理解してはいない。
ただ、滝と大樹と広場とすみか。


■倒れた山の樹

杉の樹だろうか、山一面に植えられた樹がまっすぐ空に向かってそびえ立っている。
園山の麓で、自分はその森を見上げていた。

山の樹は全て、台風の強烈な風で倒れてしまうのだ。

自分は倒れた杉の樹を山からおろす。
倒木の枝を落とし、重なり合って動かない樹をどかし、斜面にすべらせ、麓へおろす。
なんのために、樹を山からおろすのだろう。
なぜ、山にいるのだろう。

疑問もなにもなくただただ淡々と樹を山からおろしている。
麓につくと、おじいさんが野球帽のひさしに隠れて悲しそうな顔をしていた。

きっと彼の山なのだろう。
きっと彼のために、樹をおろしてきたのだろう。
彼のためにすこしでも役に立てたのだろうか。

きっと、そんなに役には立っていない。
そんなことを考えながら、倒れた樹々が爪楊枝の山の様に見える、そんな倒木の山を見上げてみた。

このブログ記事について

このページは、Yusuke Satoが2005年10月 4日 04:27に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「7弦ギター考」です。

次のブログ記事は「スパムコメント氾濫」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。