タミフル

新型インフルエンザ危機がテレビや新聞で取り上げられるようになってきた。
と同時に、インフルエンザ治療薬「タミフル」について、副作用がある、危険だという報道もされるようになってきた。

そんなことを気にしながら、ネット新聞をあさっていたら、こんな記事があった。

「タミフル:期待と懸念 どんな薬? 服用はどのように?」(MSN-毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20051121k0000m040111000c.html


◆「世界で71人死亡」報告
 タミフルの副作用は、薬の添付文書によると、発売前の臨床試験で、カプセル剤を飲んだ大人で27.5%、ドライシロップ剤を飲んだ子供で50%におう吐、下痢などの症状が出た。
 一方、こうした程度の軽い副作用とは別に、タミフルへの懸念が急速に広まっている。そのきっかけは、服用後の異常行動により少年2人が死亡したという日本の学会発表と、日本で16歳以下の小児12人が死亡していたというFDAの公表だった。FDAによると、いずれも副作用かどうかは不明だが、大人も含めた死者は全世界で71人に上るという。

 日本国内でこれだけの人数が出ている理由として、服用人数の違いも指摘されている。日本では16歳以下の患者で延べ1160万人が服用しているのに対し、米国では19歳以下で約87万人と推計されている。
 FDAは「米国では、日本に匹敵する死亡例などは出ていない」として添付文書に異常行動を盛り込むのを見送った。しかし、自宅2階の窓から飛び降りた日本人少年ら3人の異常行動を「最も警戒を要する神経症状」と位置づけ、今後2年間、副作用の監視を強化する。
 一方、厚生労働省安全対策課は「死亡と薬の因果関係は薄い」と事態を静観する。「異常行動については昨年から添付文書で注意しており、十分だ」との立場だ。

◆「通常なら必要性低い」
 タミフルの添付文書によると、効果を得るにはウイルスが増える前、発症48時間以内に飲む必要がある。熱のある期間が平均約1日縮まり、熱の高さや関節痛も緩和される。
 肺炎などの合併症を減らす効果を示した海外の論文もある。ただ、厚労省がインターネットで公表している解説資料には「合併症などの重症化を予防できるかどうか、まだ結論は得られていません」と記す。
 厚労省はタミフルを承認した際、重症化が心配される高齢者や慢性の病気がある人などについて、タミフルの有効性と安全性の調査実施を承認条件とした。同省によると、輸入販売元の中外製薬は昨冬までにタミフルの使用者約3000人のデータを集めたが、うち高齢者らは数十人で調査として不十分だった。同社はこの冬、改めてこれらについて調査する。
 では、この薬とどうつき合えばよいのか。
 インフルエンザにかかると4日程度、発熱が続くことが多い。日ごろ健康な人なら、薬を飲まなくても回復する。日本小児科学会で感染症担当の理事を務める、加藤達夫・聖マリアンナ医大横浜市西部病院長は「タミフルが必要なのは、熱が4日続いたら困るという人だ」と説明する。
 これらに該当するのは発熱期間が長引くと病状が悪化しやすい高齢者、心臓病や慢性の呼吸器病の人などだ。また、健康状態とは別に「入試が近い」「忙しい」など一日も早く治りたい場合も考えられるという。
 加藤院長は「これ以外の人には必要性はあまり高くない。でも最近は自分からタミフルを希望する患者が多い。医師は必要ないと考えても、断りにくい。飲んですぐ治る万能薬ではない」と話す。
 厚労省の解説資料はタミフルが効かないインフルエンザウイルスが現れていることも指摘し、「むやみな使用は慎むべきだ」と書いている。

◆「新型」抑制の切り札?
 同省は、新型インフルエンザ対策として、タミフル約2500万人分を備蓄する計画だ。
 新型インフルエンザは鳥インフルエンザのウイルスが変異して生じると予測され、現在のインフルエンザより格段に高い死亡率をもたらす心配がある。

 鳥と人間のインフルエンザウイルスは増殖の仕組みが似ており、ともにタミフルで抑制できる。新型インフルエンザも同様ならタミフルが効くとの期待がある。死亡率を下げられれば、服用する意味はある。
 ただ、新型ウイルスがどう変異するのか予想はつかない。このため同省結核感染症課は「本当にタミフルが効くかどうかは分からない。有効な可能性がある手段は準備する、との考えで備蓄を決めた」と説明している。
 中国や東南アジアでは鳥インフルエンザが130人に感染し67人が死亡した。国立感染症研究所の医師によると、タミフルを飲んだ感染者も複数いるが、みな発症後48時間を過ぎた後で、治療効果は判定できないという。


この記事を読むと、日本での服用がとても多いことに目がいった。
近所の医者に行くとA4封筒くらいの大きさ袋にこんもり薬を入れて出してくれる。そんな光景が思い出される記述だ。
そのようにして、薬を出されている人が多いのだろうなと思ってしまった。

この薬が、発症したらすぐ飲まなくてはいけないこと、症状が緩和される程度の効き目だということもわかった。
まあだいたいの薬が「症状の緩和」くらいしかできないのだから、当然と言えば当然だ。
しかし、もしかしたらその他の薬と混ぜて飲むことや、症状の緩和ができるリミットをすぎてしまった状態でタミフルを飲むということが危険なのかもしれない。

「タミフル服用後の異常行動、突然死」は日本の慣習がひきおこした問題なのではないだろうかと思えてならない。
もっとも、因果関係がわからないのだから、断言はできないが、薬に対してもうちょっと過敏にならなければいけないかなと考える。

このブログ記事について

このページは、Yusuke Satoが2005年11月21日 10:14に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「スパムコメント氾濫」です。

次のブログ記事は「年末」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。